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三年以上日記コンテンツの名前として使っていた「MURMUR」の発音を「むーむー」だと思い込んでいた小説書きの日々の呟き。でも、声でかい。 ※ハイテンション&一人ボケツッコミ過剰につき注意。
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Posted by - 2017.10.21,Sat
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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2015.08.30,Sun
4月19日は第1回文学フリマ金沢でしたね(触れるの遅すぎ)。

 オリジナル小説の即売会は都会でしか開催されない「遠きにありて思ふもの」的なイベントでしたので、地元での開催のお知らせに「ウホッ!」と心ときめき、ウキウキと短編集を2種類作って出店いたしました。

 青い方が、しっとり系(じっとりかも)現代小説短編集『アマヤドリズム』。
 ピンクの方が、げっそり系現代小説短編集『華見せるおとなたち』。

 『アマヤド(略』はプリントオンさんの「わくわくドキドキデザインセット」、『華見せ(略』は同社の「わくわくドキドキモノクロセット」を利用させていただきました。ぬぅ、予算が許せば『華見せ』もデザインセットでお願いしたかった……orz

 ていうか、本当なら新作書きたかった……orz

 チラシや名刺は作らなかったので、せめてポスターチックなものを(前日の夜から徹夜して)作ったのですが(上の写真の向かって左端の額縁ですね)、なんというか「欲張りすぎて失敗したなぁ」と。これじゃぁ、本が6冊に見える……。(青い題名のものが『アマヤド』に、赤い題名のものが『華見せ』に収録されています)

 などと、個人的には反省点がてんこもりでしたが。
 事務局の方々が色々なワークショップを企画してくださっていたり、お隣のサークルさん方が優しかったり、Twitterでお世話になっている方々にお会いできたり、思いがけず10年以上ぶりにお会いできた方々がいらっしゃったりと、嬉しい一日でした。じーん……(*´д`*)

 そして、こちらが戦利品です。

 ゆっくりになりますが、じっくり拝読したい気持ちがもりもり……!

 それでは、あらためまして。当日、お足下の悪い中、スペースまでおこし下さった皆様方、まことにありがとうございました。

 ちなみに、この2冊は、アリスブックスさんにて委託販売中です。(宣伝)
 ●『アマヤドリズム』
 500円(税抜)A5 48P オンデマンド印刷
 ●『華見せるおとなたち』
 408円(税抜)A5 44P オンデマンド印刷

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2013.09.28,Sat

「いやあ、いいお式やったね」
「ほやねぇ。もうすぐ梅雨やし、今日は雨降るって天気予報で言うとったけど、うまいこと晴れたわいね」
「『雨降って、地固まる』って聞かんで済むね。この時期のお祝い事のスピーチはそればっかりで、耳にタコやわ」

 聞こえてくる会話に、思い出す。結婚式の日取りを電話で教えてもらったときのことを。
「花嫁道中するなら、春の方がいいんじゃないの? サッコの名前にピッタリな桜の季節だし。六月なんて、雨、だいじょうぶ?」
「でも、年度始めは何かと忙しいし、やっぱりジューン・ブライドに憧れるしね」
 天気を心配する私に彼女は笑って答え、最後にこう付け加えた。
「それに、彼、この季節が好きだから」

「サッコちゃん、本当に綺麗やったね。もともとがすごいべっぴんさんやけど、花嫁衣裳がよう似合っとって」
「友則さんも、ご立派で堂々としておられて。やっぱり、学校の先生は人前が慣れておいでるからかしら」
 茶屋街の奥にまします、青葉に包まれた神社。深閑とした鎮守の森で厳かに響く神主さんの祝詞。一音一音が場を清める雅楽の中、朗々と読み上げられる新郎の誓詞。木漏れ日の下、薄紅色や白銀で刺繍された桜の花びらが淡く輝く白無垢に身を包んだ花嫁の、凛とした美しさ。
 ……うん。いい結婚式だった。本当に。
「ねぇ、あなた。勝代(かつよ)さんとこの、えーと……ミドリちゃんやったっけ?」
 おばさまの一人が急に振り返って私に話しかけてきた。
「え? あ、緑子(みどりこ)です」
 びっくりして、答える声が裏返る。
「ああ、そうやったわ。サッコちゃんと似た感じの名前やったね」
 笑顔でうなずくおばさまに、もうひとりも話にのってきた。
「へぇ、桜子ちゃんもやけど、モダーンで素敵なお名前やねぇ」
 「素敵なお名前」――そう褒められるとき、いつも顔を見つめられる。

 緑子は歩いていた。茶屋街の石畳を緩やかに進む、従姉・桜子の花嫁道中の中ほどを。
 ただでさえ雨の多い金沢の梅雨。遠くに雨雲は見えるものの、まだこちらには届いていない。
 歩を進めるうちに、理由あって疎遠だった親戚たちに行く先々で声をかけられるうちに、再びくずぶり始める「思い」。
 花嫁道中が終わり、披露宴が始まるまであと二時間。招待客が式場で歓談する中、緑子は一人外へ出た。
 雨雲はまだ、届いていない。
 その足は自然と、ある場所へ向かい――秘めていた「思い」は、膨れ上がる。
 
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 平成25年9月1日発売の『北國文華』第57号に短編『雨降って』が掲載されました。

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
 富山県内では比較的簡単に手に入るようで、図書館にも入っているそうです。
 お手に取ってご覧いただければ嬉しいです。そして、御感想などを北國新聞社様、もしくは私にお寄せいただければ、幸甚でございます。

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2013.01.01,Tue
 ひと息ついて流し台に戻り、再びガスコンロに点火した。菜箸でフライパンのウインナーを転がすと、勢いよく跳ねた油が右手の小指に直撃した。
「あつっ!」
 あわてて手を引っこめ、油の当たった部分を確かめた。だいじょうぶ、火傷どころか、赤くもなっていない。安心して、菜箸の先をフライパンに戻そうとした。
 けれど、なぜか手が動かない。その動かない右手の、小指から目が離せない。
 小指。やけに引っかかる。何か思い出さなきゃいけないことがあるような。なんだろう?
 記憶を掘り返そうとする脳裏に浮かんでくるのは、姉との会話の端々。
 
『ちょっとこっちに』……『そんな愛想もないこと』……『たったひとりの家族』……『さびしいね』……『おねえさんに』……『連れていってもらう』――

「――おねえさん……?」
 その言葉がふと口をつく。
 私たちは二人姉妹だ。姉が「おねえさん」と呼ぶ人物とは、誰?

 誰?

「まさか」
 かつて見た、赤い小指が目の裏で瞬いた。そして、真っ白な場所でうずくまる、鮮やかなレモンイエローのアノラックを着たお下げ髪の少女のつむじが。
 思い出す、引っかかっていた何かを。姉との電話で覚えた違和感の正体がひらめく。
 急に背筋が寒くなった。故郷の湿った吹雪にさらされたかのように。
 私は菜箸を溶き卵のボウルにつっこんで、再び電話に向かった。アドレス帳を開いて姉の携帯電話にかけてみるが「電源が入っておりません」というアナウンスが流れるだけだ。
「病院……、病院の電話番号は……」
 聞いていなかった。
「ねぇ、お姉ちゃんの様子、変なのよ。嫌な予感がするわ」
「はあ? 今、自分で『大げさ』って言ったばっかじゃん」
 スマートフォン片手にプチトマトをつまむ武が鼻で笑った。
「いつも『愛想もない』って言い方してたのに、さっき『さびしい』って言ったのよ」
「意味わかんねーし」

 東京に嫁いだ私。故郷の金沢でひとり暮らす姉。ここ二週間ほど、彼女は「ちょっと戻って来れんがけ」と毎日電話をかけてくる。家事が忙しく、つい邪険に扱ってしまう私に彼女は告げた。
「もういいわ。おねえさんに連れてってもらうさけ」
 その言葉に、姉が「おねえさん」と呼ぶ存在、かつて語った「おねえさん」との出会いの話を思い出す。 誰もが「夢や」と笑った話。今でも夢か作り話としか思えない話。
 なのに、この不安はいったい何なのだろう? 私は家を飛び出して、故郷へ向かう。
 ――家を飛び出した理由は、それだけじゃなかったけれど。

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 平成24年12月1日発売の『北國文華』第54号に短編『さびしき呼び声』が掲載されました。

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
 富山県内では比較的簡単に手に入るようです。図書館にも入っているそうです。
 お手に取ってご覧いただければ嬉しいです。そして、御感想などを北國新聞社様、もしくは私にお寄せいただければ、幸甚でございます。

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2012.12.02,Sun
 ↑ズコー(なに素知らぬ振りして戻ってきちゃってんの)

 てな感じですが、純粋にブログや小説の更新報告用としてアカウントを取り直しました。
 需要、皆無でしょうが……。
 あと、年に数ツイートになりそうなんですが……。いや、数百ツイートになれるよう、がんばります……。

 以前のように日記代わりや交流には用いない方向ですが、よろしければ。(というか、日記代わりや交流に用いようとするとろくなことにならないのが実証済み)

http://twitter.com/Thatsright_CM/

 なお、以前のアカウント「that_is_right」は他の方が使用なさっておりますので、お間違いのないようお願い申し上げます。

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2012.06.01,Fri
 「子ども」「結婚」。なんだ、オンナがいたのか。……まぁ、そうだよな。あれはもう三年前の話だ。オンナの一人や二人とつきあってたって不思議じゃない。
「ローカル番組には準レギュラーで出させてもらってるけど、これ以上は芽が出る気配もないしな。俺ももう三十五だし。いつまでもガキみたいな夢をガキみたいに追っかけてるわけにもいかんわな。カノジョも『引退して、まっとうな勤め人になってくれ』って言うしさ」
「……おまえもか」
 今度は俺が頭を掻く番だった。白いアフロ頭に手をつっこむ。
 よくあることだ。結婚を言い訳に挫折していった芸人を何人も知っている。
「おまえの天下獲りの夢は、結局その程度のもんだったってわけだな」
 なかば挑発のような言葉に顔をしかめたケェスケが口を開きかけたのを遮り、言葉をつぎ足す。
「ま、決めちまったもんは、しかたないよな」
 最後になってまでケンカすることはないだろう。ヤツの第二だか第三だかの人生へ、気持ちよく送り出してやるとしようか。
「末永くお幸せに」
 祝福を贈って、背を向けた。階段に足をかけたところで、呼び止められる。
「おい、ゴロ」
 振り返ると、しかめっ面のままのケェスケが俺をにらみ上げていた。
「まだ瑠果ちゃんとつきあってんのか?」
 おいでなすったよ。いつまでも執念深いことだ。
「ああ」
 ヤツが黒いアフロ頭だった頃の記憶が蘇る。高校の同級生でコンビを組んだ、俺たち「パンダ・アフロ」。大学の学園祭で俺たちのライブを見てファンになってくれた瑠果。先輩、後輩、ファンのみんなで楽しくつるんでバカやってたものだ。懐かしい。
「元気なのか?」
「元気だよ」
 俺は目をすがめた。ヤツをにらみ下ろす。
「あいつは、『ガキみたいな夢をガキみたいに追っかけてる』俺を応援してくれてるよ」


 「大人になれよ」――そう告げた元相方は結婚を機にトップ芸人への夢を諦めた。
 俺は綿あめを食う。新ネタをひねり出すために。俺は諦めない。瑠果も応援してくれている。
 「特別な綿あめ」をつまみ、彼女は笑う。「夢がかなうね」。


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 6月1日発売の『北國文華』第52号に短編『夢みる子どもたち』が掲載されました。

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2011.05.22,Sun
 宮元は部屋に入ってくるなり、社長に向かって丸坊主の頭を下げた。立位体前屈のように、深く深く。
「この度はご迷惑をおかけして、たいへん申しわけございません」
 二重瞼どんぐりまなこという愛嬌のある顔だちと朗らかな人柄。なにより頭の回転が速く機転が利く。入社当時から一目置かれ、次々に年上の営業部員を追い抜いて、今では三十代後半の若き営業部長。彼はこの小さな会社のエースだった。
 二週間ぶりに見る宮元はすっかり面変わりしていた。髪を剃ったせいだけではない。ふっくらとしていた頬はこけ、以前はきつそうだった濃紺の背広がだぶついていた。十キロ近く痩せたのではないだろうか。そのせいか、ひと回り年上の私よりも老けて見えた。
 二週間、か。今日は経理のうえでも人事のうえでも月締めにあたる二十日。ちょうど良い区切りだ。間に合ってよかった。
「総務部長にもご迷惑をおかけいたしました」
 続けて私にも頭を下げる宮元を「まあ、座って」と応接用ソファーで待つ社長の前へ促す。宮元は丸めた頭をひと撫でし、ソファーに腰を沈めた。私はクラフトの長3封筒を手に、横で控える。

 宮元が社長に差し出した封筒、今から私が宮元に差し出す封筒、その傍らで忍び笑う部下は―――

「さて、この責任どうとってくれるんだ?」

 社長室で巡る封筒と人生。


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 3月1日発売の北國新聞社刊『北國文華』第47号に小説『封筒』が掲載されました。

 3月1日発売の。

 ……今、何月だ……。
 
 すっかり時期を逸してしまい、申しわけありません……。(特に出版社さんに土下座)

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
 富山県内では比較的簡単に手に入るようです。図書館にも入っているそうです。
 お手に取ってご覧いただければ嬉しいです。そして、御感想などを北國新聞社様、もしくは私にお寄せいただければ、幸甚でございます。

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2010.10.02,Sat
 しばらく、コメントとトラックバック欄を閉鎖することにいたしました。
 ご了承くださいませ。

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2010.01.28,Thu
 本日、当サイトの『文章修行』を「本日のWebコンテンツPickUP!」として、アルファポリスさんにご紹介いただきました。
 トップページに掲載されるのは、おそらく今日だけではないかと思われますが、ホラージャンルのページにはしばらくの間掲載されるそうです。

 こぢんまりした掌編を取り上げていただいたうえに、とても興味惹かれる文章でご紹介いただき、作者として感無量です。本当にありがたいことです。

 のろのろペースですが、これからも執筆をがんばろうと思います。

 

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2009.03.02,Mon
 とりあえず三日間の忌引休暇を申請した俺は、電車を乗り継いで雪深い故郷の田舎町へ戻った。盆も正月も仕事にかこつけて戻っていなかったから、何年ぶりかも覚えていないぐらい久しぶりの帰郷だった。
 実家は相変わらず本で埋めつくされている。書斎どころか廊下を経て居間までをも侵食する父の蔵書の山は、様々な物を飲み込んでいた。手紙や通知簿などをちゃぶ台の上に置こうものなら、いつの間にか本と一緒くたに積まれてしまっていた。母も俺もたいそう迷惑していたものだ。
 数年ぶりに会った母は、泣きながら本の山を崩しては積み直すことを繰り返していた。一心不乱に捜し物をしているようだった。何を言ってみても、作業を止めることなく「はぁ」だの「んぅ」だのと漏らすだけだ。もともと不思議な言動をするひとだったが、輪をかけておかしなことになっている。ショックが大きいのだろう。役割を任せられる状態ではなかった。
 結局、喪主も施主も俺が務めることになった。本の山に囲まれて、俺は式場の手配や金勘定などを淡々と進めた。進めながら、父の記憶を掘り起こした。
 ほとんど何も無かった。

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 そんなわけで、約17枚の掌編『喪ノ黒スイッチ』が3月1日に発売された北國新聞社()の『北國文華』第39号に掲載されました。

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
 富山県内では比較的簡単に手に入るようです。図書館にも入っているそうです。
 お手に取ってご覧いただければ嬉しいです。そして、御感想などを北國新聞社様、もしくは私にお寄せいただければ、幸甚でございます。

(実は某公共施設発行の作品集に掲載された作品です。名義が違いますが、同一人物です。なお、発行元からは許可をいただいております)

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Posted by 曽野 十瓜(ソノ トウリ) - 2008.09.01,Mon
 二人を照らすのはガス灯を模した街灯の明かりだけだ。月も星も、重なり合う薄雲の向こうに隠れている。
「本当に寒くなったよね。昼間は暖かかったのに」
「もう紅葉だもんね」
 見上げた先に映るのは、黄色から赤へと染まりつつある桜の葉だった。色の移ろいとともに発酵しているのだろうか、枝の下はどこか懐かしいかぐわしさにあふれている。
「ついこの間、お花見したような気がするんだけどね。三十過ぎてから、季節の変わるのがやけに早く感じるわ」
「人の気持ちもね……」
 突然、絵里の声のトーンが沈んだ。
「チビでデブで、ちっともタイプじゃなかったけど……。あんまりしつこいから、仕方なくつきあってあげたのに……」
 デザートと共に締めたはずの愚痴がまた始まる。振り出しに戻る、だ。
「やっと好きになりかけたのに……、水の泡。ていうか、……あっちから告白してきたくせに……。三週間で『もう飽きた』なんてね。……ホント、早すぎ」
 奥歯にしぶとく残っていたクリームブリュレのカラメル飴の砕ける音が、京子のこめかみで鈍く響いた。
「だーから、そんな奴とは別れて正解だってば」
 すかさず苦笑まじりに慰めた。続けて、何を考えなくとも舌が自動的に言葉を紡ぎだす。
「次は、きっといい男に会えるって」
 一体これで何回目だろうか。もうすっかり慣れてしまった。
 「毎回そう思ってるんだけどね」と、絵里もレッサーパンダに似た愛らしい顔に苦笑いをにじませている。
「飽きられて捨てられて、これで三十七人目。すごいでしょ、三十七人よ」
 ――じゃあ、少なくとも二十回は超えてるな。
 大学時代から十数年、思い返してみれば同じパターンの繰り返しだ。その度に京子はこうして絵里を慰め、励まし続けている。
 思わずこぼした白い溜息が、木枯らしに流されて消えた。



 

 『うらやましい女~泡とカシスオレンジ~』、『北國文華』第37号掲載。



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 そんなわけで、約12枚の掌編『うらやましい女~泡とカシスオレンジ~』が9月1日に発売された北國新聞社『北國文華』第37号に掲載されました。ありがたいことです。。

 えーと、ぶっちゃけ、『男に捨てられたことがない女の憂鬱』です。加筆修正して京子さんがパワーアップしましたが、ほとんど同じです。
 なので、いつものように「お手にとっていただければ」とお願いするのは申し訳ない気もするのですが、やっぱり、以下にいつもどおりのお願いをさせていただきますね。ぺこり。

 石川県内のほとんどの本屋や図書館に入荷されると思いますが、県外の方は『北國文華』サイトからの通販や書店注文でしか手に入らないと思います。
 あ、富山県内では比較的簡単に手に入るようです。図書館にも入っているそうです。
 お手に取ってご覧いただければ嬉しいです。そして、御感想などを北國新聞社様、もしくは私にお寄せいただければ、幸甚でございます。

 あ、この『うらやましい女』シリーズで短編連作っぽい展開の実行を私一人が勝手に予定しております。


 ……実行できないかもしれません(ぼそっ)。

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曽野 十瓜(ソノ トウリ)
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性別:
非公開
自己紹介:
●お肉が好きな、わりと陰気な感じの人。
●永遠の18歳……いや、28歳と言い張りたいお年頃の人。
●雪国でコテと暮らしながら、うねうねと小説を書いている人。
ネットで発表した小説を出版した後も撤去しないバカチャレンジ精神旺盛な人。

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